治療薬にRX3。


断ち切ってしまえ。

切り口からまた

新しいものが出てくるハズさ。


                               2010年.黒乃 桜

「一日ってのは早いモンなのさ」

積み上げろ 積み上げろ
段ボールタワー and 漫画/教本/未来へのなんちゃら

へし曲げろ へし曲げろ
存在理念 to シャーペン/過去からの絵手紙

何を知りたい? 悲劇症にオサラバ?
見失いたくない って そんなに好きでもない癖に

愛も 逢いも 疑う
ような 自分 なんか そうさ 叫べ!

息の詰まる部屋で 蒸し暑いそんな部屋で
冷たく気取った言葉で さあ さあ!

サヨナラコンニチハもう またかしら
アリガトウアイシテル 愛しとるよ。

やらなきゃいかん なんて
吹っ切っちまえ 何もなくなるハズ さ

窮屈か?退屈か? もっとバジルを求めたいのか
残念か?残骸か? 問うより先に問われてみやがれ

一日ってのは早いモンなのさ!
気に入ったやつから順に 過ぎていくモンなのさ

今や 教科書が並んだ部屋で
恋の残骸が残る部屋で

叫びの涙なんかよりずっと 狂喜が笑ってやがる
苦い珈琲飲み下して おリボンのハット!

ほら 夜が更けてくぜ!
ほら! たたき起こしてやれってんだ!

後悔か?滑稽か? 更に上へと行きたいのさ
戦闘か?正当か? 断ち切れ打ち切れ叫んでみやがれ

一日ってのは早いモンなのさ!
やりきれないものばっかり 溜まっていくモンなのさ

今も ノートが嵩む部屋で
美人の抜け殻が落ちた部屋で

憂いの言葉なんかよりずっと 驚喜よ飛んでこい
固いラムネ噛み砕いて レースのコサージュ!

ほら 夜が過ぎてくぜ!
ほら! 叩き出してやれってんだ!

そんな部屋のベッドの上から

























































「始まりも終わりも「おはよう」から」

眼を覚まして。 鳴き出した
早く止めてよ 早く起きなよ

慰めて。 起き上がって
今日の天気をぶつぶつ数えて

見失った。 事を少し
思い出しながら啜った野菜ジュース

「おはよ」 僕の細胞
昨日の死骸 今日の赤子

今頃地球の裏では みんな床につき
それでも僕が死ぬ頃に みんなは起き上がって

飲み下せ

夜も 朝も 昼も いつでも
何かしら言は交わされて

僕は 今日も生きているんです
って。 にんじんとかに言われるように

ほうれんそうとかに 悟らされるように

目を閉じて。 鳴き出した
誰かが呼んでる 早く起きなよ

眼を擦って。 慰めて
間の悪いメールを返すとして

得た物を。 そんな事を
悦に浸って枕に埋めた脳内から

「おはよ」 地球の裏の世界
今日の死骸 明日の赤子

誰もいない部屋 別に悲しくはない
今までそうだったからじゃなく 今からもそうだから

飲み干して

夜も 朝も 昼も いつでも
何かしら言が流れて

僕は また生かされてるんです
って。 絵文字のハートに言われるように

ピースサインとかに 笑われるように。

さあ 言ってよ

「おはよ」

今日の僕へと

明日の死骸へと










































「白いリボン」

真っ白な空に手をかざした
きっと同化してしまいたいんだろう

今ならもしかしたら って口を開いて
「ミルクが飲みたい」 でもやっぱ飲めない

床に転がった夢を貪って
水道水で食道に流して

裏の裏を読んで当たった裏なんか
二枚しかない紙には 存在しなかった

いつになったら より
いつかはまた より

白いリボンを結んであげよう
長く伸びたカーテンを纏めて

もしかしたら より
かもしれない より

青や赤や黒じゃ見つけられないから
もっと高く 高く 跳べるものへ

饐えた匂いがする 雨
発酵途中のトマトの 晴れ
灰色盛りの我が儘 曇

白いリボンで飾ってあげよう
宛も果ても無いから 口遊んで

フリルもつけて
カップを彩ってよ












































「夢色の夢」

────夢を見た。

ゲームカセットの砂糖漬け
瓶詰めになってこちらを見ている
それが酷く可哀想で そっと手を差し伸べるのだけれど

夢を見た 覚えてるのにぼやけている
怖かった 怖がってるのは その、

─何を感じたの 何が解ったの─
「何を感じたと思う? 何が解ったと思う?」

声がする ちいさな ちいさな声が
砂糖漬けがこちらを見る
小さく 小さく 声を零して

─こないだはあの夢だったよね─

「強くなると行って女を置いて出てった怪盗の話か」

─・・・。─

ほら 気付いちまえ

─・・俺は・・誰と話してるんだ?─


「逆手に取られて」



お前は、



「汗だくだね、大丈夫」
─・・変な夢・・見た・・─


「よくいう、よく言う言葉をやろうか。
お前が怖がるならくれてやる。

忘れてしまうことなんかない。
思い出せないだけで、きっといつかは思い出せるはず。」


嘯く私に彼女は笑う


早朝4時47分13秒


「あれは彼女だ、なあ      」

─何を・・なにを、─



「何も見てはいないよ。」



















































「裏で莫迦やれそれから消えろ」

バカニバカトイワレ
いわれたかねーよ ちょっと待ってやがれ

キエテシマエ キエテシマエ
煩い煩い ジュースでも飲んでろ

そうゆー 波に呑まれて
流されながら何を言ってる

自分との戦い 不戦勝よりになってるけど?
それがなんだって言うんだ!

楽な方へ楽な方へ
そうすれば 消えてしまえる?

悲劇感へ十中八九
嘆いてれば ワラッテラレル

否定なんか否定なんか
してる つもりはないけど

愛したって愛したって
愛したり無い事って あるじゃんか

それと同じじゃんか 消えたいなら・・
消えてしまう!って 言ってみろよ

だから

消えてしまう 消えてしまう
消されてしまう 消されてしまう

消える消える 無くなってしまう
嫌だ嫌だ そうさせるのは誰だい?

キエテシマウキエテシマウ
ケサレテシマウコロサレテシマウ

キエルキエルナクナッテシマウ
イヤダイヤダヨ そうさせるのは俺だろ?

なあ。

莫迦をやってるんじゃなく 莫迦を見てるんだ
戯ってやつを見くびった 何かからの罰さ

叫ぶのならカンタン 嘆くのなら尚簡単
肯定否定よりキスを

キエテシマエってなキスをば
してあげに行こうか

裏よりも表にいるあの子へ
表だって裏だと叫ぶあの生意気な 子へと ね





































「160分」

現実世界と妄想世界
どっちつかずでも 気付いてるから

箱の中身を取り違えても
泣きはしませんよ 臨機応変

駄目人間になったつもりも無いし
立派な人間になったつもりも毛頭 御座いませんわ!

なら私は
飛行機でGO! 歌を歌って

ちょちょいのちょいで 目的地に行くわ
リスクは高いけどね 運と努力は惜しみませんの

いっそ私は
飛行機でGO! オルガン弾いて

160分しか経ってないわ
いまから何処へなりとも 行きましょう

徒歩で電車より随分遅れて駅に着いた私は
疲れて動けない 空を見上げる

格安で乗れる飛行機
探してないなら 作ってしまいました。

そんな感じ どんな感じ?

そうね
飛行機でGO! バスも好きだけど

今世にも来世にも 期待してるわ!

まだ160分の フライト











































「味のない夕方の憂鬱」

口寂しいって棒付きキャンディー
誰に貰ったっけ? 唇に押し当て

床の上 埃塗れ
このままいっそ目を閉じようかな

それでも来るさ 悪い結果のように
タロット様に言われたように

「 足 掻 い て も しょう がない」

仕方ないでしょ
空っぽの頭に 言葉を詰め込んでくれ

「 泣 き 出 し て も 意味が ない」

誰が教えてくれるって?
その意味の先を、さ その答えの先をさ

息苦しいほど キャンディーから嗚咽に変わる
一人でとか そういうんじゃなくてさぁ

焦ってでは ダメダメだって
同じように ゆっくりと舐め溶かしてって

ノートを抱えて 死んだら
弁当箱に詰められたい

そういう願望 妄想 理念
いつの間にか固まってきたからさ

「 苦 し く て も しょ うがない」

仕方ないでしょ
腫れたままの肺 冷たい空気を出させてくれ

「 愛 し た く て も 意味 がない」

誰も教えてくれないのさ
その意味の先を、さ その答えの後をさ

味のない夕方の憂鬱
いつか叶うとかじゃなくって

そうさせてやるって叫ぶんだ







































「嘘」

彼は酷く世界に絶望していたに違いない
この世の全てのものが 己を騙し 騙されているのだと

彼はその日こうも言いました
ああそれでもどうしてこの嘘の社会が綺麗に見えるのだろうかと

それに答える事など出来なかったけれど
そんな彼さえも偽りを糊で固めた人間なのだと思った僕は

幾分か彼より頭のおかしな人間なのでしょう
その縛り続けるフェンス越しに見るから 社会は綺麗なのでしょうと思った僕は

彼はいつも言っていました

怖いと叫べ 怖いと泣け
自分の『それ』が消えるのが
死ぬのがすごく怖いのだと
泣いて叫んで生き続けろ
泣いて叫んで喚き散らせ

そんな彼は死が怖い自分のために生きているのだと
思っていたのかも知れないけれど

僕はそうは思わないのです 僕が狂った人間だからかもしれないけど
彼は他のために 美のために

喚き散らして生きていた事でしょう
泣き叫んで暮らしていた事でしょう

彼は何を恐れていたのでしょうか?
よくよく考えれば僕には全く解らないのです

偽りのくせに偽りを恐れていたのでしょうか?
それでもいつまでもいつまでも騙し続けられる世界に絶望していたのでしょうか

僕には解りません
彼の事など微塵も解りません

僕はやはり気が狂っているのでしょう
おかしいと貶まれた彼より幾分か

僕は笑ってしまうのですから
綺麗なものを綺麗に見えるとこから見ていれば良かったのにと

わざわざその向こうへ行ってしまう事はないのにと


「さようなら さようなら
幾分かあなたが嘘偽りなく暮らせるように願ったのだけれど」


生き続けましょう
僕はただ 嘘を付く事が真実だと宣いながら

生き続けましょう 生き続けましょう
それでも僕は 微塵でもあなたの嘘が真実になるならと

思ったのですけれども












































「紅歌」

宵に咲く 紅の小石
水を裂く 盃の翼

黒湖に 昇るは鈴月 夜光
朝餉 待ち遠しかろう 虫や

透の明とは 水鏡 月下
映せ 映せと 羽衣 宙や

虚蝉 今宵も 待ち待ち 奏で
紅歌は 海へと沈むる

ヨイニサク ベニノショセキ
スイヲサク ハイノヨク

ココニ ノボルハスズツキ ヤコウ
アサゲ マチドオシカロウ チュウヤ

トウノメイトハ スイキョウ ゲッカ
ウツセ ウツセト ハゴロモ チュウヤ

ウツセミ コヨイモ マチマチ カナデ
クレナイウタハ ウミヘトシズムル












































「青い月の下にとある手品師がおりました。」

昔々ある所に
一人の手品師がおりました。

彼の手品は超一流
本場で修行した一級品です。

彼は寂れた町の片隅で
夜な夜な手品をしておりました。

「さあさあみなさんお立ち会い。
世にも不思議な手品ショー。」

彼が魅せる手品の数々
夜な夜な人々はそこへ集まる。

魔法のような彼の手品
子供達は魔法使いと思っていました。

ある日誰かが言いました
タネや仕掛けはどこにある。

彼は笑って答えました
深く帽子を被りながら。

「タネや仕掛けなどどこそこに。
すぐ目の前で繰り広げているのです。
それを見破れないのは平和な証拠。
それが解らないのはカモの証拠。」

彼は今夜も町に出て
夜な夜な手品をしております。

タネや仕掛けを見破れず
ちくしょうと宣う連中にも。

格好良いからもっとやれと
望んで騙されようとする人間にも。

彼は微笑みこういうのです。

「さあさあみなさんお立ち会い。
世にも不思議な手品ショー。

何をほざくか野ねずみ共。
可愛い可愛い野ねずみ共め。」

彼の魔法事は
一円にもなりません。

彼の手品は一級品で
彼の腕は一流です。

野ねずみを騙すには
おつりが来るほどに。











































「たんしおよんじゅういち」

短い言葉の列は 溢れて仕方のない言霊
数字の数だけあるのは 零れてばかりの思い出

苦手になったものが トラウマになったものが
日に日に増えていくだけ 爪を伸ばす理由も見つからない

眠い眼を擦りながら どこか吐き気を感じながら
そこでようやく絞り出す オレンジジュースのように

コップ半分の 一場面
あの頃は満杯の たんしおよんじゅういち

ああ彼女はどこに行ってしまったんだろう
まだ幼い心を残して 少し背伸びした心を残して

今や廃れ気味の恋愛観も
どうにかこうにか韻を踏んでる

ああ彼女はどこに行ってしまったんだろう
目映い妄想を抱えて 閉じ込めたままの心を噛んで

それでも此処にいる欠片
どうにかこうにか残ってるはず

あの頃のアルスになれたけど
隠し事も 秘密事も増えてしまった

それが虚しい訳じゃないけど
彼女にとっては理想だけど

ああそれはどこに行ってしまったの
悲しい事情を飲み込んで 置いてきたままかかとを踏んで

ああそしてどこに行き着くの
未経験の言の葉も 次の次に期待をして

ああ彼女はどこに行ってしまったんだろう
まだ幼い心を残したまま

まだ淡い期待を抱いたまま













































「あまったるい私たちのための」

さとうでどろどろにつめちゃって
かのじょのどろどろれんあいろんなど

きいてなーい きいちゃいなーい
ほらほらくっきーがやけたわ!

ちいさなはながらぽっとのこーひー
かのじょのあまあまれんあいだんなど

きょうみなーい すなをはいーて
ほらほらけーきをわけましょ!

..いつからやってんのかしら....
....いつからあったのかしら..

だれと だれの おちゃかいだったのかしら
だれが だれのために よういしたの?

あったはずだけど

しゅがーでぐつぐつにつめちゃって
かのじょのぐつぐつふっとうすんぜん

おこったー おこったー
ほらほらはーとがたのくっきー!

おそろいのまっしろいてぃーかっぷ
かのじょはめそめそばくはつすんぜん

ないたわー ないたわー
ほらほらはーとがたのちょこけーき!

....いつになったらおわるのかしら..
..いつからあったのかしら....

あまったるいるい くうきによったわ
あまったるいるい こーひーひとくち

わすれろ わすれろ!
かのじょはわんわん こねこはにゃあにゃあ

さとうでどろどろにつめちゃって
かのじょはどろどろわすれていくわ

やなことぜーんぶ わすれていくわ...
きょうびのきおくも わからないわ...

あった...はず..の...
あったはずの..

あっ..た...は..ず...
そしてふりだしに...











































「〃」

立ち止まるとそこにいた
同じ目線で 小さく笑う

私は爪を飲み込んで
生きていくしかないからと

少し高いヒールを履いたから
じゃあとくれた手もそのまま

複雑にコードを繋げるしかないし
それが知らない内に何かを無くす事だって

気付いてはいたけど
いつの間にかまた目線は同じで

当たらないでと願った予期より
壊れないでと手を組んだ真相が

私をそうさせてしまったのだと
諦めたように笑ったけど

振り返るといつもいた
同じ笑顔で 小さく笑う

今は消えてしまったと
私はまた引っ掻いてしまうけど

少し高いヒールと同じくらい
背が伸びてしまったんだね

複雑に繋いだコードが無くなって
残ったものが何もなかったとしても

立ち止まるとそこにいる
複雑なまま 私は叫ぶ

同じなんだと 私は叫ぶ。














































「虚ろ」

青い部屋の端っこで 未来永劫笑って過ごせ
そう言われた訳ではありませんが

床に倒れ込んだ途端に 指の糸が切れてしまい
ああここは沼の底かと可笑しくなる

天井付近に 消えたはずの君が現れて
俺の首を探して彷徨っている

それをぼんやり見上げては
微笑ましくまた笑い出してしまう

明るいはずの夜明けが来れば
舌打ちをしてまた夢から覚めて

黒いテープで仕切られた部屋から
嗚咽みたいに巣を作り始める

正午を廻れば泡沫の午睡の途中
恋愛論を語りに来た 偽物の彼女がドアを叩く

ブラウスのボタンを引き千切っては
悲しくないから笑ってと言われる

立ったまま過ごした夜は
君が俺の首を絞めに来る

堕ちろ堕ちろと叫ばれて
息苦しくてまた倒れ込んで

君には見つけられない場所に墜ちて
そんな所の淵から見下ろす

「あなたを産もう」と偽物が叫んだ













































「正夢」

僕の歌った唄がきっと
ヘタだったからだと思うけど

シンクの上のトマトがそっと
床に落ちて潰れてしまった

ミートソースになる前に
トマトパイになる前に

トマトは蟻の餌になった

僕が踊ったダンスがきっと
上手じゃなかったからだと思うけど

鳥かごの中のカナリアがずっと
狂ったように鳴いていた

可愛い名前がつく前に
綺麗な唄を歌う前に

カナリアは首を落とした

もしもを叫んで僕は飛び起きたけど
いつものような天井から 見えてくるものは嘘つき男

彼女は僕の肩を掴んで
エイプリルフールを先取った

彼女が歌った唄はずっと
綺麗に綺麗に聞こえたけど

彼女の踊ったダンスはずっと
綺麗に綺麗に見えたけど

僕はやるせなく生きているばかりで
スニーカーを脱ぐのも面倒になった

だから多分
食べられたんだと思う



















































「お前の素振り見てたら」

私なんか居なくて良いの
居なくなっても誰も悲しまないの

脅しのように繰り返しては
俺の胸をそっと引き裂いて

居なくてもいい人間なんて
この世にはいないって

そんな言葉が偽善だって
分かってるけど 解ってるけど

忘れられなくて夢に現れる
愛しい日々を思う度

私がいなくなったら
あなたはこうして夢を見るの?って聞いて

いやそんなハズ無いわ
自己解決はただの処刑

また俺が死ぬ。

誰がいなくたって世界は廻り
誰がいなくたって誰でも生きていて

それでも突き立てたナイフの先には
誰かがいるって 解ってしまった

誰がいなくても世界は廻る
でも昨日生きてた誰かがいないと思ったら

誰だって 多分
俺だって 立ち止まるし

その画面の向こうには 必ず
誰かがいるって 知ってしまったんだ

そうやって反響しあってるんだって
恥ずかしながら 今頃気付いてしまったんだ

それに気付かず生きてた
お前がちょっと可哀想だ。

殺してたのは自分じゃなく
俺をだったのに。













































「欠落品F」

彼女はいう 質素な笑みで
『あなたは少し何かが足りない』

道路脇に 猫が蹲って
今からお前らの餌になってやるって 鳴いた

落としたもんを 探して歩いている間に
目の前に 真っ白い線を引かれてしまってさ

それがちょっと 虚しいからって叫んだら
いつの間に こんな人間になっちまったんだ

ただ 紛れもない 欠落品
1でもなく0でもなく

もう 何にも無い 欠落品
0.4から巻き戻させてよ

ばらばらのパーツを掻き集めても
それなりの値段しか付けられない

愛とか気まぐれとかいう言葉じゃ
足りないよ 躰の何かしらと同じように

ただ 紛れもなく 欠落品で
AでもなくBでもなく

もう 何も無い 欠落品で
B.6からやり直させてよ

猫を抱え上げたかった 本当は彼女も知ってた
惜しみなく誰とも違うと 叫んで宣ったって

どうせ替わりはしないし
口から吐き出してしまった ネジ

指さされて 大笑いされる前に
先に遠くから 指さして笑えば良いのさ。

そういう身につけた信条が
ちょっとずつ蝕んでいたとしても

ただ 紛れもなく 欠落品
なんでもない なんでもないよ

もう 何にも無い 欠落品
照らし出して 真っ黒な赤いランプで

彼女は 正常通りに
嗚咽を吐いては 飲み込み

餌にもならずに 笑う




















































「だからさぁ、やってられんのだよ?」

常に玄関に 常備してある塩を
僕はスーツのポケットにも 偲ばせてあるのです

世界やら世間体 考えたって無駄無駄
自分の努力を盾に 突き進んだって玉砕 粉砕

悲しすぎ!ってな 時もあります
もちろんあります ありますけどね?

否定 反発 神経衰弱
残念生き残れなくてゲームオーバー

逆手に取ってナンボのもんです
平気なふりして微笑んで グッドラックに気持ちを込めて

あいつの炭酸飲料の缶
蹴っ飛ばしてしまいましょう

だからさぁ やってられんのだよ?
何でもかんでもそうです!

だってもう やってられんのだよ?
そういうとこに来たかったんでしょ

ああもう やってられんのだよ?
だったらはいはい 狡くなりましょう

もう一回 やってられんのだよ?!
そうね次に書くときは 酷い自分を救えるようなヤツね

乗せられては駄目です
褒められたいとか言いません

削るのは良心だけで 灰色世界にグッバイ☆
生き残ってなきゃね













































「いけないぜな話」

部屋のあちらこちらから
出てくる残骸 俺の戦死体

あんまり上手なやつじゃないけど
既に魔法を使えるようになったから

鏡に向かって叫べば
変身だって出来るし

誰の為でもなく ただ
何かある度に死んでく俺への

弔いのため 供養のため
そして明日からの自分の為

あの日々は今日は昨日の延長で
いちいち産まれることなんて考えてなく

24時を過ぎれば25時がきて
段々老けていく俺がいる

鏡に向かって叫ぶ事も出来ないし
毎日変わらないまま

幸せに暮らせている訳じゃない
生き生きと暮らせている訳でもない

何が違う?って聞かれたら
酷い人間になったんだよって笑うけど

そこまでしかいけないぜっていう話
俺はヤだから逃げたって話

GO!したい癖に足踏みをしてる
そんなのが窮屈だったって事

そこまでしかいけないぜっていう話
俺はもっと先まで行くからって話

泥とか垢を塗りたくって
生きてはいたくないから

俺の身につけた魔法はただ単に
綺麗に生きていく為の呪文

酷い人間になってしまっても
泣きながら叫べというただの騙し

それでも GO!したいんだ
足踏みは嫌だ 俺は行くもっと先へ

そこまでしかいけなかったっていう話
でもこれからはもっと先へ行けるって話

いつかもっと上手な魔法使いに
なったら教えに行ってやる

もっと先へいかなきゃって 話を









































「サナトリウム」

そんな日々が好きだったから
僕は狡くなるのを恐れた

そんな日々があったから
今の僕が生きてるのであって

酷く黒い憎悪なんか 宝石のように輝かせてさ
ナイフとフォークでお上品に食して

白く悲しい絶望なんか 叩いて砕いて
ミキサーに掛けてさ

実は居ると思ってるものは居無くって
無くなったというモノが未だに残っていたりして

それに気付いてしまえばもう
無くしても良いものが見えてくる。

プラネタリウム アクアリウム。
両手には何があると思う?

力と美と将来性。
僕は躰中に飼う事にした

リアリズム 白昼夢。
僕はいつしか悟らせる側

危険領地の サナトリウムで
お綺麗な花を愛でていく

ワンルーム アイスクリーム。
嘆いてばかりの悲劇症も

愛と恋と芸術性。
僕は幾つでも知ってしまった

だから強い訳じゃないけど
決して美しいだけじゃないけど

そんな日々が好きだったから
僕は今を生きている。












































「良い事を。良しとして。」

ただ単に 純粋に 帰ってきてくれと云っていた頃。
単純に 純真に まだ好いていられると思っていた。

『あの子には解らない』と
諦めが仇になったのかな?

本当を嘘と信じさせたが為に
こんなに拗れてしまったわ。

良い事を。良しとして。
悪者を、駄としてる。

矛盾でも 清純でもなく
靴がたまたま襤褸だっただけ。

だからサヨナラをしたんですよ
だから愛想が尽きたと言って

殺してくれなくたって良いんだから
彼女を不幸にしてくださいな。

ただたまに 基準を 間違ってしまおうかと思った頃。
ただ単に 安心が そこに有ると思っていた。

『あの子が好きだ』と
言えなかったのか悪いのか

ウソを嘘だと決めつけたが為に
こんなに焦がれてしまうんだ。

良い事を。良しとして。
良心を、善として。

柵でも 足枷でもなく
そこにたまたま居合わせただけ。

だからサヨナラをしましょうよ
だから挨拶を返しましょう

死んでしまえとは言わないから
彼女を愛して下さいな。

可哀想に、愛して下さいな。






































「ここ最近の日常」

昔よりはちょっとさ
皮肉をいうのが上手くなったぜ

真っ黒な言葉を綴ってるってさ
思ってたけど そうでもないし

美人になるには 何かを犠牲にしなきゃとか
考えるようにはなってみたけど

恋に急ぎすぎて妥協しては
諦める度にまた酷い人間になったりとか

そこまでしなくていいのに と
自分で笑ったりするけどさ

棄てられないものが少なくなって
随分切り捨てるのに慣れたもんだ

前よりはちょっとさ
どす黒い文も書けるようになったぜ

命を絶つ事だけが
絶望って訳じゃないし

書けなくなったらどうしようと
不安に感じる事やらを

秤に掛けて 随分となりたいものに
近付いて来たとは思うけど

憧れっていうのは変化するもので
今日も今日とてまだ辿り着けないよ

そういう事実があるから
多分綺麗に生きていけるんだって

最近気付いたりしたんだけど
それでも魔法を掛けなくたって

似合うもんを似合うと叫べば
噂にくらいなるんだからさ

ここ最近の日常は
暴力的でも無いからさ

今日も明日も別々で
愛したいよとも叫べるし

ここ最近の日常を
もっと広げて提示してやりたいよ

どうだ結構やれてるだろう?
嘘や悪意も綺麗に抱えられてる

こんな
ただの日常。